muffmuff

自分が学んだことや体験したこと、そして備忘録を書いているブログです。

マルチモダルとか沈黙とか

JACET 談話行動研究会で以下の発表があるみたいです。(友人が発表するとのこと。)
 
以下はメーリングリストの引用です。
 
日時:3月13日(水)午後4時30分〜6時30分
場所:立教大学池袋校舎14号館D601教室
内容「高校英語教科書内における「地雷」をテーマとしたテキスト分析
   〜批判的談話分析、マルチモダル分析の観点から〜」吉澤 洸太
  (明治学院大学大学院)
  「ケータイ小説会話における沈黙の位置と機能」種市 瑛
  (立教大学大学院)
予約:不要(会員以外の方も歓迎)
問合せ:池尾玲子(専修大学rikeo0919@gmail.com
 
発表会後、懇親会を計画しております。
こちらも、お気軽にご参加ください。

 

人数を把握するため、3月11日(月)までに池尾まで
ご参加のご連絡いただけますと助かります。
台湾料理 夜来香(イエライシャン)http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13015258/
料金:およそ3000円

 

発表要旨
「高校英語教科書内における「地雷」をテーマとしたテキスト分析
   〜批判的談話分析、マルチモダル分析の観点から〜」
吉澤 洸太(明治学院大学大学院)
 
 Van Dijk (2008) は政治や戦争を主題として扱う際、報道と同様、「(偏見などで)歪んだ」視点から、教科書が作成されていると主張している。現在日本で使用されている高校英語の教科書には、地雷撤去中に被爆したクリス・ムーン氏の物語が扱われている。被爆した状況を表す文体がそれぞれの教科書で異なっているが、その差異にある「正当性」を保つために「特定」の文体を制作側が選択する必要があったのではないかという疑問点が、分析の結果、生じた。また、生徒が教科書の物語をより理解するために添付されている写真は、必ずしもある事実だけを反映しているとは限らない。被爆の「恐怖」を想起させる白黒の写真や、背後に「国旗」を写すことでイギリス人・国全体の「象徴」を含意する写真を掲載していた。
 本発表では文体・写真分析の方法と結果を示し、教育目標として掲げる「真理」を求める態度や、「健全な批判力」を養うために、双方の手法を授業内で取り入れれば目標の達成に貢献出来るのではないかと提案する。

 

 
「ケータイ小説会話における沈黙の位置と機能」
種市 瑛(立教大学大学院)
 
 本研究はケータイ小説の登場人物が行う会話内の沈黙(…)に焦点をあて、その出現位置および機能の分析・考察を通し、話しことばにおける沈黙の研究に新たな枠組みを提示することを目的とする。
 ケータイ小説は状況描写が少なく、登場人物の発話のやり取りを中心に物語が構成されることに特徴がある。また沈黙を含め、様々な記号を用いて話の展開が記述されていることも特徴的である。ここから浮かび上がるのは、ケータイ小説が単なる書きことばで書かれているわけではなく、話しことばの特徴もふんだんに盛り込んだ形で表現されているということである。従来の沈黙に関する先行研究は主に話しことばを分析・考察しており、書きことばを対象とした研究は非常に少ないのが現状である。いわば書きことばと話しことばの中間的な性質をもつケータイ小説は、興味深いデータソースとなることが予想できる。
 『あの夏を生きた君へ』(水野ユーリ著、287頁)を、通常の会話分析の手法に従って分析した結果、ケータイ小説の会話には先行研究ではあまり注目されていない位置に沈黙が現れること、また登場人物の感情表現を目的とした沈黙が高頻度で見られることが明らかとなった。発表では具体例をあげながら説明を加え、話しことばに見られる沈黙の分析への示唆を中心に考察を深めたい。